おぬしたちのおかげで・・・はっきりと、思い出したぞ。
お天道様の温かさと豊かさと力を。
 
(乙次郎さん!?そ、その景色は・・・)
 
見えるか。
これは4月の乙津集落だ。
美しいだろう。
今日、冬の秋川渓谷を歩きながらも、拙者はずっと、木々の命の中に、春の力を感じていた・・・。
 
(あなたは一体・・・)
 
拙者・・・乙次郎は、お天道様からの使者なのだ。
 
お天道様は、わしら人間たちが困難な時代にも前向きに行きていけるように、この春、いつにも増して美しい花々を、この地に咲かせることを決められた。
 
 
この地に咲く花が、人々を勇気づけ、前向きに歩いていくための心の支えになればいい。
 
拙者の使命、それは・・・
次の春、この乙津の里をいつも以上に美しい花々で埋め尽くすこと。
そのために拙者はここにやってきた。
 
今日歩いた道のりを、もう一度、もう一度春に歩いてもらいたい。 一人でも多くの人に美しい色と香りで満たされた桃源郷のような風景を見てもらい、その心にも花が咲くように・・・。
  
春までやることがたくさんある。
忙しくなるぞ。
 
 

ふむ・・・  今は確かに困難な時代かもしれん。
この時代の我々に、太陽の神様がいつにも増して美しい春という贈り物をくれるというわけじゃな。
 
 
 
 
・・・ということは・・・乙次郎よ、まさかここに、春までいるつもりか!?
 

もちろんだ!
拙者には、この地に美しく色とりどりの花が咲き誇る景色が、もう見えておる!
 





 
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