石は、拾えたか。
(はい・・・この場所、なんだか不思議な雰囲気ですね。なんだか、時間が止まったような・・・)
わかるか?
拙者も、この場所が気になっておるのだ。
まだよく思い出せぬが、拙者はふと気付いたらひとり、この川原にいた。
あなたは、60年前にこの秋川渓谷に来て、その後・・・今度は突然、現代に現れた。
最初にやって来たのは、この場所なのね?
どうやらそうらしい。
拙者もよく思い出せぬのだ。
しかし、この川原と集落には見覚えがある。
何度も来たことがあるような・・・。
そうとも、乙次郎どの。
あなたは江戸時代から何度も、繰り返しこの集落にやって来ているんです。
江戸時代には井戸を掘る手伝いをし、明治時代には地元の重要な産業だった紙すきを手伝い、大正時代には近くの農家で養蚕を手伝った。
覚えていませんか。
地元の人たちはあなたへのご恩を、忘れていませんよ。
そうだったのだな・・・。
そうか。
何度もここに・・・。
それにしても・・・この場所は冬でもずいぶん陽当たりがいいのだな。
この季節の透き通った陽光を浴びていると・・・ああ、本当に気持ちがいい。
空気はまだ冷たいが、この陽の光を浴びて、木々も川の流れの音を聴きながら、春の芽吹きの準備をしているのだろう。
まだ春は随分先だというのに、拙者には先ほどからどういうわけか、景色の中に春が見える。
(この場所は確かに水の流れも穏やかで透き通っているし、陽が当たっていたらポカポカあったかくて、気持ちいいですね)
本当に・・・気持ちいいわね。
思わず深呼吸したくなるわ。
うむ、とても落ち着く・・・
おそらくここには、時代が変わってもほとんど変わらない自然と風景があるのだろう。
さて、ゆっくりしたいところだが、そうもいかぬ。
どうやら・・・さらに先を急ぐ必要があるようだ。
拙者自身、はっきりしたことはわからないが、身体が先に進めと言っておる。
拙者は少し先に行くが、おぬしらはここで「石ころの謎」を解くがいい。
答えがわかったら、きっとまた後で会えるだろう。
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