しろやまテラスを出たら左よ。
確か、坂を少し登ったところに・・・
あったわ。
この辺りにはあちこちに井戸があるようだけど、ここも立派な横堀の井戸ね。
ほら、井戸の上に、水の神が祀られているわ。
ふむ。
どうだみどり、何か感じるか?
はい・・・いえ、でも、もうここには水の神はいないようね。
どうやら、ククノチを探しに行ってしまったみたい。
(ククノチ?)
久久能智命・・・古事記や日本書記にも登場する、木の神よ。
日本の最も古い神話の中で、イザナギとイザナミの間に生まれたとされる、最も根源的な神のひとつなの。
そうか!
これまで出て来た神様を並べてみると・・・
火の神、土の神、金の神、水の神、そして木の神。
木、火、土、金、水。
・・・これは、古くからこの世界を成り立たせていると信じられた5つの要素じゃ。
(なんですかそれは?)
五行思想(ごぎょうしそう)または五行説(ごぎょうせつ)じゃな。
・・・古代中国に端を発する自然哲学の思想じゃ。
万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説で、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが根底にある。
みどりが聞いた声の神々は、本来は互いに一体となって万物を成り立たせている5つの要素を象徴する神じゃな。
(しかし、今、その神々は互いを見失い、探し合っている・・・?)
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